寄生獣 パート1
  • 映画批評
  • 2015-05-05

  • 今回は、現在上映中の映画の前篇となる作品について
    書きたいと思います。

    寄生獣 パート1
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    公開  2014年

    2部構成となっていて、完結編が現在上映されています。

    80~90年代に連載された漫画の映画化です。
    実は映画化権が一度、ハリウッドに持っていかれたのですが
    実現されることなく契約期限が切れた為、
    日本国内での争奪戦の末、山崎貴監督が
    映像化することになったそうです。

    全10巻の漫画を2部作にまとめる為にテーマを絞り、
    内容や登場人物も削除する箇所を徹底的に詰めたとのことです。
    したがって原作とは登場人物の役割が違うところもありますが
    わかりやすい内容になっています。

    内容は、自然界が増えすぎた人間を減らすために生み出した寄生獣が、
    人間の中に入りこんで脳を乗っ取り、次々に人間を捕食していく。
    主人公(染谷将太)も寄生されるが、たまたま右手に寄生されたことで、
    寄生獣との共存共栄を目指すことになるが、寄生された人間?らに命を狙われる。
    一方、寄生された人間達の中でも人間を捕食するだけでなく、
    コントロールすることを模索するグループも生まれてくる。

    このような設定は、日本ではよく考えられます。
    つまり、地球にとっての悪は人間だ、という設定です。
    初めに生まれたのは「アキラ」でしょうか。
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    それからいろんな作品が生まれましたが、
    根底にはこのアキラがあると思います。

    さて、批評ですが、
    この監督は、良い作品と悪い作品が大きく分かれます。
    この作品は良い方だと思います。
    たぶん、監督自身も好きな作品だったのでしょう。

    ストーリーも大分、短縮化したにもかかわらず、
    展開に違和感はありませんでした。

    また、映像に関しても
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    色調整も悪くありません。
    何がメインライトか、ちゃんとわかるように撮っています。

    カメラの見せ方も、寄生された人物が登場する場面では、
    足元から、とか、
    カメラを移動させると姿が見えてくるとか、
    逆に固定カメラ内に入ってくるとか、面白い登場の仕方を入れて
    不気味さを出しています。

    CGは最初の寄生する生き物の動きまわるところで
    接地面がうん?というところがありましたが
    寄生獣は今の日本の技術で上質レベルだと思います。
    なぜかゲーム会社2社が協力しているのも面白いです。

    また、このような作品ではよく陥るグロさを
    最低限度に押さえているのも良かったと思います。
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    目を背けたくなるのは良い気持ちになりませんからね。

    あと、音楽も良かったです。
    るろうに剣心や大河ドラマの竜馬伝を担当した佐藤直紀でした。

    グローバルな作品であるかは疑問ですが
    楽しめた作品でした。
    完結編も楽しみです。

    予告映像です。


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    十三人の刺客
  • 映画批評
  • 2015-03-30

  • 今回は時代劇が見たくなったので、少し古いですが
    大仕掛けで話題になった作品を取り上げました。

    十三人の刺客
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    公開    2010年
    製作費   20億

    この作品は1963年に映画化された同名作品のリメイク版です。

    内容は、
    明石藩主は狂気じみた暴虐非道な人物にもかかわらず、
    将軍の異母弟である為に幕府の次期老中に内定する。
    万民の為に選ばれた13人の刺客が、参勤交代の道中で
    明石藩主を暗殺する、という話です。

    史実にも近い話があったと言われていますが、
    面白い設定でした。

    久しぶりに時代劇の真骨頂を見たくなり手に取った作品でしたが、
    なかなかスケール感のある映画でした。

    まず、手抜きがなかった事がよかったです。
    暗殺する場所を街道沿いのある村に設定し、その村自体を
    実際に造ったのがこの映画に厚みをつけています。
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    戦うところも手抜きはありません。
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    この作品の監督は黒澤明監督を尊敬しているようで
    七人の侍を非常に意識している点が見受けられます。
    雨のシーンなんかはまさに黒澤の雨でした。

    そして選り抜きの侍を揃える設定
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    戦いはあまり期待していなかったのですが、
    立ち回りは
    なかなかリアルっぽい感じで良かったです。
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    戦いのボロボロ感もいい感じです。
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    展開も息もつかせぬ感じでした。
    全体的にはスケール感もあり、あらゆるところに
    気を使って作られた良い出来だと思いますが、
    私なりに気になる点を述べさせていただきます。

    まず、色味です。
    これは色を落とすべき内容だと思います。
    緑とか肌とか鮮やかに色を出しすぎたと思います。

    明石藩主ですが、稲垣吾郎で良かったか・・
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    その点、若い二人はいい感じでした。
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    おなじみの山田孝之と窪田正孝です。

    あとCGが冷や汗ものです。
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    クオリティー的にギリギリセーフですね。

    最後に、おいおい死んでないのかよというシーンがあります。
    ネタバレになるので詳しくは書きませんが
    これは幾らなんでも無いと思いますよ。


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    そこのみにて光輝く
  • 映画批評
  • 2015-03-22

  • 今回も小説から映画化された作品です。

    そこのみにて光輝く
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    公開  2014年

    この作品の作家の佐藤泰志は
    函館の高校在学中に有島青少年文芸賞の優秀賞を受賞し、
    数々の受賞作品を手がけたが、41歳の時に自殺しています。

    内容は函館を舞台にしていますが、非常に重い作品です。

    採石場のダイナマイトの技術者だった主人公(綾野剛)が
    部下を死なせたことで酒におぼれた生活をしている中で
    パチンコで知り合った少年院から出た保護観察中の青年(菅田将暉)と知り合う。
    そして誘われるまま訪れた青年の家。
    そこには脳溢血で寝たきりの父親、その看病で疲れ切っている母親。
    その家族を養う為に体を売っている姉(池脇千鶴)。
    姉を好きになった主人公が元の仕事に復帰することを決意し
    姉と一緒になり、弟にも自分の仕事を紹介することを提案する。
    ただ、姉には愛人扱いする弟の仕事を斡旋している町の世話人がいて
    姉弟の邪魔をする。

    映像は昭和を思い出すようなちょっと古い色彩の感じで、
    地方でどん底の貧困家族を見事に描いていました。

    カメラも寄りきらず、引ききらずでいいアングルです。

    保護観察中で仕事にありつけない学もない青年を
    見事に演技している弟役の菅田将暉
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    彼は彼なりに、それでも何とかしたいともがいている

    安い金で体を売って家族を養っている姉役の池脇千鶴。
    体を張った演技で日本アカデミー賞の主演女優賞の優秀賞を受賞しています。
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    良い表情です。

    どうしようもない状況でも家族の為に
    必死に生きようとしているのは良く描いていました。
    異色の家族愛と言ったところです。

    ハッピーエンドじゃないのも現実感がありました。
    あまりにも重いのでお勧めはしませんが、

    生きていくという事の厳しさを嫌というほど
    教えてくれる作品です。

    もちろんこれも映画じゃなくドラマレベルではありますが、
    確かに地上波で流せない内容ですので映画化は致し方ないところです。

    主人公の綾野剛を初めて知ったのは、
    2011年のNHK朝ドラ「カーネーション」で、
    主人公尾野真千子の不倫相手として出演していました。
    最近、私が取り上げる作品でもいろいろと出演しています。

    姉役の池脇千鶴を初めて知ったのは、
    これも2007年のNHK大河ドラマ「風林火山」で
    武田信玄の正妻の三条夫人として出演していました。
    計略結婚の幼い役でしたので童顔の顔が合っていましたが、
    こんな汚れ役を演じられるようになったのですね。

    テーマ : 映画レビュー
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    桐島、部活やめるってよ
  • 映画批評
  • 2015-02-10

  • 今回は日本アカデミー賞作品について書いていきます。
    36回(2012年)日本アカデミー賞最優秀作品

    桐島、部活やめるってよ
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    公開 2012年

    タイトルが面白いです。
    著者が大学在籍中に執筆し、小説すばる新人賞を受賞した
    デビュー作の映画化です。
    内容は学園ドラマで、
    男子バレーボール部のキャプテンだった「桐島」が部活を辞めることで、
    生徒達にいろいろな影響が波紋のように広がっていくストーリーを
    オムニバス形式で見せています。

    オムニバス形式とは、ある出来事について複数の人が
    それぞれのストーリーを並列的に絡ませていく手法です。

    私もプロデューサーとしての立場で、
    オムニバス形式の短編アニメにかかわったことがあります。

    映画の限られた時間の中で見せていくのは難しいのですが、
    意外と表現しやすかった印象があります。
    なぜかと言うと、
    一人のストーリーを追うより数人のストーリーをからめていく方が、
    いろんな場面を組み入れられて展開がしやすいからです。

    面白い手法です。

    さて、批評ですが、
    俳優の演出が自然体な表現なのは良かったと思います。
    さすがに最優秀作品ですから変なカメラや変な演出はなかったです。

    内容的にも、バレー部というメジャーな部と映画部というマイナーな部、
    クラブに熱中している人と帰宅部の人、男子生徒と女子生徒など、
    それぞれの心理がいろいろと絡むところも面白かったです。

    また、この作品にはメインに新人に近い人達が参加しているのも
    好感が持てました。

    東出昌大
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    最近ではNHKのお抱え男優になりましたね。
    朝ドラから「花燃ゆ」にも出ています。

    自然派な演技です。

    この系の俳優は、
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    筒井道隆です。
    彼にももっと活躍してほしいですね。

    あと、映画部が取り組んでいたゾンビ映画が
    イメージ映像として使われるシーンがあるのですが、
    結構力の入った演出でした。
    これは逆に、高校生レベルで最高と思えるぐらいの映像で
    良かった気がします。
    つまり、もっとダサくしてほしかったです。

    そこに8mmフィルムに魅了されていると語るシーンが出てきますが、
    映画好きの人には良くわかるフレーズです。
    これは万国共通なフレーズですね。

    スーパーエイト
    super801.png
    公開 2011年

    スティーヴン・スピルバーグがプロデューサーとして参加した映画で、
    子供たちが同じようにゾンビ映画を撮ろうとしたところ
    大事件に巻き込まれるという映画でした。
    彼らも8mmフィルムに魅せれていました。
    題名にもスーパー8mmというフイルム名を付けているのです。

    内容的には別段良くなかったですが、
    最後に流れる子供達が撮った風の映像がダサくて
    逆に良かったのです。

    しかし、ゾンビ映画は万国共通で皆好きですね。

    さて、今まで評価しているところを書いてきましたが、
    やはり根本的な問題に行き着きます。

    これは映画かドラマか、です。
    もちろん、迷わずドラマです。

    確かにこの路線もありなのですが、それは国内で楽しむものにしかならず、
    世界には売れません。

    最後に、映画部の高校生を見てほのぼのはしましたが、
    ここで願うのは、実際に映画を目指している若い人達には
    もっとグローバルを目指してほしいものです。

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    るろうに剣心 伝説の最期編
  • 映画批評
  • 2015-01-25

  • DVD発売がされましたので、今回は「るろうに剣心 伝説の最期編
    について書きたいと思います。
    rurou02.png 
    公開    2014年
    興行収入 45億円
    監督    大友啓史

    この作品は以前に書いた京都大火編の続編になります。
    見た感想ですが、予算が尽きたのか、
    エキストラが極端に少なくなりました。

    展開も「やっつけ的な」シーンが多々あり残念です。


    ただ、
    セットは京都編と同じですのでクオリティーは高いままです。
    衣装も綺麗すぎ(3日間着ていた)なところもありましたが
    よく汚しをいれています。
    映像もフィルターをかけ色調整をおこなって統一感があります。
    変なカメラもありませんでした。

    カメラについて、今までは抽象的な言い方で書いていましたが、
    今回はすこし詳しく話していきましょう。
    rurou01.jpg
    奥行を利用したアングルです。
    すこしローアングルなカメラで奥の人物をとらえる撮り方で、
    バランスが良いですね。

    rurou05.jpg
    被写体をセンターにとらえるのでは無く、
    基本的に左右のどちらかにずらすことで、納まりの良い絵にしています。
    この絵だと左側に空間をとることで、
    左側にいる見えていないターゲットの存在感をだしています。

    rurou04.jpg
    対峙して話すカットです。
    基本は手前をぼかし、奥の人物にピントを合わせます。

    少し応用編になると、最初は奥の人物だけが見えていて、
    カメラをスライドさせると手前の人物が見えてくるという撮り方もあります。

    大友監督は
    映像の見せ方を知っている人だと思います。
    しかも目線アングルを重視しています。
    目線アングルは映画を見ている人が感情移入しやすいのです。

    大友監督が次はどういう作品を作るのか楽しみです。
    今度はリアル志向の映画をお願いしたいですね。


    テーマ : 映画レビュー
    ジャンル : 映画

    プロフィール

     野口秀昭

    Author: 野口秀昭
    30年近くCG映像業界に身を
    置き、CM、展博、ゲームなど
    の映像を担当し受賞作品や
    有名タイトルを多数制作

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