プリプロダクション その2
  • 映像技術
  • 2015-01-31

  • プリプロダクションについての続きです。
    前回は1.絵コンテについてお話ししました。

    2.背景やキャラクターのデザイン(衣装)
    sw01.jpg
    スターウォーズのデザインです。

    舞台となる場所や人物の衣装などは、製作に入る前にデザインし、
    みなで確認しておくべきです。

    至って普通の話のように聞こえますが、
    日本映画では直に製作にはいる場合があります。
    なぜかというと予算の割り当てがないので、
    既存のものを転用する場合が多いからです。

    つまりいくらデザインしても、結局はあるモノで対応するので
    デザインしても無駄となるわけです。

    SFモノなどは流石に新たにデザインし製作しないとまずいですが、
    時代劇や現代のモノは既存の衣装を利用したり、
    現代が舞台の時は実際に使っている事務所や部屋を利用します。
    時代物はそれ用の施設を利用することが多いです。

    これも予算が割り当てられれば、ある程度製作したり
    汚しをいれることが出来ます。


    3.演技セリフ合わせ

    撮影に入る前に役者達の演技やセリフを練習する場です。
    場所は倉庫や広い事務所、劇団の練習場所などです。
    あまりお金がかからないところで行うのが普通です。

    これは徹底的に行うべき作業です。

    この時点でしゃべり方や演技をチェックし、
    完璧に仕上げてから撮影にのぞむべきです。

    本番の撮影現場であれこれやるのは愚の骨頂です。
    無駄な時間を費やし無駄な費用もかかります。

    たとえ経験のない新人の監督を抜擢したとしても、
    この工程を踏めば演技指導の不安もなくなり、
    チェック機能も発生します。

    また、記録して映像に残せば、
    他のスタッフにもどのような演技かを事前に知らせることができ、
    撮影本番に初めて見るということがなくなり、
    セッティングを円滑に進めることができます。

    黒澤明監督がこの演技セリフ合わせに数か月を費やしたことがある、
    という記事を読んだことがあります。
    もちろん缶詰状態ではありませんが。

    4.アニマティック

    アニマティックについては次の記事で詳しく書きますが、
    このアニマティクこそ非常に重要なプリプロダクションだと
    思っています。


    日本映画でも1から3(絵コンテ、背景やキャラクターのデザイン、
    演技セリフ合わせ)は多かれ少なかれ準備し対応しています。
    でもこのアニマティックに対応しているものは、
    ほとんど見たことがありません

    アメリカではこの作業こそ生命線と考えている人が多いです。
    如何に重要かは次の記事に回します。


    テーマ : 映画関連ネタ
    ジャンル : 映画

    プリプロダクション その1
  • 映像技術
  • 2015-01-30

  • それではプリプロダクションについて書いていきたいと思います。
    実は私はこのプリプロダクションこそが日本の映画を変えると
    確信しています。

    プリプロダクションとは何かを述べる前に
    以下の準備ができていることが前提となります。
    1.メインメンバーが決まっている(監督、脚本、カメラマン、主役など)
    2.脚本

    実は脚本に関しても以下のようなプロセスがあります。

    著名な脚本家は、よく映画1本につき3回の書き直しを含めた
    契約を行います。
    その条件でいくらということです。
    つまり、1回目の脚本を書いて、監督などが気に入らない場合は
    書き直しを行うわけです。
    それが3回までという感じです。

    実はこの作業に関してもプリプロダクション的な要素を入れると
    5回ぐらいは同じ予算で書き直しが可能です。

    つまり最初は大枠の脚本を書いてメインスタッフで議論し、
    OKなら次の細かいところを詰めるというやり方です。
    このやり方だと、皆で確認しながら進めることが出来るし、
    無駄な予算を使う必要がありません。

    そうやって出来上がった脚本から
    本格的なプリプロダクションの作業が開始されます。

    プリプロダクションには
    以下の4つの大枠があります。
    1.絵コンテ
    2.背景やキャラクターなどのデザイン(衣装)
    3.演技セリフ合わせ
    4.アニマティック

    1.絵コンテ

    conte01.jpg
    これはスターウォーズの絵コンテです。
    この絵コンテ作業にも取り入れるべき重要なプロセスがあります。

    絵コンテはそれを描く専門の方がいますので、
    実際に描くときにはその人に任せるのですが、
    どういう絵を描くのかはメインメンバーで決めなければなりません。

    この作業も共同でやります。
    はがき大の白紙にカットカットの絵をかいて
    掲示板のようなところに貼っていきます。
    それを皆で見ながら討議し、書き直したり貼り直したり、入れ替えたりします。
    参加するのはプロデューサや監督、カメラマンや脚本など
    この作品にかかわるメインのメンバーです。
    当然、皆が絵を描ける訳ではないので、
    ラフな絵で各自のアイデアを入れていくのです。
    大枠ですが、これでカメラの位置やストーリーの流れなどが決まります。

    この時点で、この作品の良し悪しの最初のチェック機能が発生します。
    しかも予算はメインメンバーの人件費だけです。

    それが出来たら絵コンテ屋に描いてもらいます。

    このような作業で一番重要なことは「後戻りしない」ということです。
    一旦、皆で決めたことを覆えしてはいけないのです。
    この前提を崩すとすべてが無に帰します。
    だから真剣に討議し、一つ一つ確認しながら詰めていくことが重要です。

    絵コンテを決める作業では、1~2週間は缶詰状態を覚悟しなければ
    なりません。

    ただ、なかなか結論が出ないシーンなどには時間をかけて討議する
    ケースもあります。
    その場合は製作に入らず、プリプロダクションで結論が出るまで止めておくのです。

    要はプロセスの手順を厳守するということで、
    プリプロダクションが終わらないと製作に入らない、です。

    つづきは次回へ


    テーマ : 映画関連ネタ
    ジャンル : 映画

    アメリカと日本の違い
  • 映像技術
  • 2015-01-29

  • 私は1995年から5年程、アメリカで映像製作のビジネスを
    していました。
    今回はその頃に知ったことや思ったことを書きたいと思います。

    日本とアメリカでは
    映像製作のプロセスに大きな違いがあります。
    互いに良い面や悪い面があり、学ぶべきものは大きいと思います。

    一番大きく感じたのはプリプロダクション、
    つまり撮影や製作に入る前の作業です。

    アメリカではプリプロダクションに非常に時間をかけます。
    プリプロダクションが終わった時点で、映画の完成度が予想できるくらいです。

    一方、日本では製作に入ってから、いろいろと修正や変更を行います。

    アメリカの良い面
    初期の段階で映画の完成度が予想でき、
    失敗か成功かがある程度分かるので、
    製作前に変更したり修正することができる。
    失敗とわかれば中止するので金銭的にも被害は少ない。
    アメリカの悪い面
    製作に入ると流れ作業的になり、個人の能力の発揮の場が少な
    い。
    完成品は予定通りのモノなので予定以上の作品は生まれない。

    日本の良い面
    撮影中や製作中に変更や修正をするので、
    完成時に当初の予定よりよいモノがあがる可能性がある。
    現場のアイデアが採用されるケースもあるので、
    個人の能力を発揮できる場がある。
    日本の悪い面
    製作中に変更や修正をすることでスケジュールや予算が膨らむ。

    しかし、途中で演出が変わるとブレが生じ、
    往々にして駄作が生まれるというのが実感です。

    これはCM製作でも同じで、
    製作中に横やりが入ると駄作になるケースが多く、
    一気に仕上げたモノの方がかえって良い作品になりました。

    最初のイメージや思いが一番大事だ、ということです。

    近年の日本映画はこの日本の悪い面が強く出ています。
    映画を見て、なんでこんな撮り方をしたのだろうかとか、
    なんでこんな演出をしたのだろうかと感じることが多いです。

    そのようなことはプリプロダクションをしっかりやれば
    初期の段階で気が付くし、修正できることなのです。
    しかも無駄な予算はかからずに、です。

    それではプリプロダクションとはどうのような作業か。
    次回に詳しく書いていきたいと思います。


    テーマ : 映画関連ネタ
    ジャンル : 映画

    るろうに剣心 伝説の最期編
  • 映画批評
  • 2015-01-25

  • DVD発売がされましたので、今回は「るろうに剣心 伝説の最期編
    について書きたいと思います。
    rurou02.png 
    公開    2014年
    興行収入 45億円
    監督    大友啓史

    この作品は以前に書いた京都大火編の続編になります。
    見た感想ですが、予算が尽きたのか、
    エキストラが極端に少なくなりました。

    展開も「やっつけ的な」シーンが多々あり残念です。


    ただ、
    セットは京都編と同じですのでクオリティーは高いままです。
    衣装も綺麗すぎ(3日間着ていた)なところもありましたが
    よく汚しをいれています。
    映像もフィルターをかけ色調整をおこなって統一感があります。
    変なカメラもありませんでした。

    カメラについて、今までは抽象的な言い方で書いていましたが、
    今回はすこし詳しく話していきましょう。
    rurou01.jpg
    奥行を利用したアングルです。
    すこしローアングルなカメラで奥の人物をとらえる撮り方で、
    バランスが良いですね。

    rurou05.jpg
    被写体をセンターにとらえるのでは無く、
    基本的に左右のどちらかにずらすことで、納まりの良い絵にしています。
    この絵だと左側に空間をとることで、
    左側にいる見えていないターゲットの存在感をだしています。

    rurou04.jpg
    対峙して話すカットです。
    基本は手前をぼかし、奥の人物にピントを合わせます。

    少し応用編になると、最初は奥の人物だけが見えていて、
    カメラをスライドさせると手前の人物が見えてくるという撮り方もあります。

    大友監督は
    映像の見せ方を知っている人だと思います。
    しかも目線アングルを重視しています。
    目線アングルは映画を見ている人が感情移入しやすいのです。

    大友監督が次はどういう作品を作るのか楽しみです。
    今度はリアル志向の映画をお願いしたいですね。


    テーマ : 映画レビュー
    ジャンル : 映画

    アイス・エイジ
  • 映画紹介
  • 2015-01-22
  •  
    前の記事でディズニーアニメーションについて書きましたが、
    今回はディズニーに対抗したアニメーションの代表作品について
    述べたいと思います。

    ディズニーアニメーションは簡単に言うとアメリカアニメの王道です。
    それに比べよりオーバーアクションを加えたものが、MGMの「トムとジェリー」、
    ワーナー制作のルーニー・テューンズの「バックス・バニー」や「ロードランナー」です。

    この2つの系統のアメリカアニメは、今もCGアニメ映画として引き継がれています。

    ディズニーアニメは「トイ・ストーリー」のPIXARが引き継いでいます。
    pixar-carrusel.jpg

    そして今回紹介したいのは、「トムとジェリー」や「ロードランナー」の動きを
    引き継いだ作品です。

    アイス・エイジ

    Ice01.jpg
    公開        2002年
    製作費  約60億円
    興行収入 約380億円

    この作品は4までシリーズ化されています。
         アイスエイジ2  アイスエイジ3  アイスエイジ4
    公開      2006年       2009年      2012年
    製作費   約80億円     約90億円     約95億円
    興行収入 約655億円    約886億円    約840億円
    意外と思うかもしれませんが非常に成功している作品です。

    製作は20世紀フォックスの一部門である「ブルースカイ・スタジオ」です。
    Blue-Sky.jpg
    内容は氷河期の動物達の冒険ですが、
    CGアニメーションについては、私はこのブルースカイ・スタジオのアニメが
    最高傑作だと思っています。

    とにかくアニメーションがすごいキャラがいるのです。
    risu.jpeg
    このリスが、
    ストーリーにまったく関係なく話の合間合間に出てきて、
    すごいアニメーションをしていくのです。
    正直、私はこれ以上のアニメーションをみたことがありません。
    アニメーションの勉強をしたい人には、
    是非見てほしい作品です。

    CGアニメ映画ではトータル的にはPIXARが素晴らしいのですが、
    CGアニメーションに関してだけでいうとブルースカイが最高だと思います。

    私がブルースカイを知ったのは1996年頃だったと思います。
    bluesky01.jpeg
    このCGを見せられて、こういう絵を作ってほしいと言われました。
    正直、愕然としました。
    この質感は、当時の自分達の技術では出来なかったのです。
    現在でも本気で作らないと難しいかもしれません
    これを作ったのが当時小さいCG制作会社のブルースカイだったのです。
    だから私は質感のブルースカイだと思っていました。

    今は進化してアニメーションのブルースカイとなったのです。


    テーマ : 映画情報
    ジャンル : 映画

    ディズニーアニメーション
  • 名作紹介
  • 2015-01-14

  • 今日はディズニーアニメーションについて述べたいと思います。
    ディズニーの創設者、ウォルト・ディズニーが生まれたのは1901年です。
    日本では
    なんと日露戦争より前になります。
    walt01.jpeg
    彼はアイルランドからアメリカに移民として渡って来ました。
    もともと絵が好きで、お金を稼ぐ為に新聞の漫画を描いていましたが、
    セル画のアニメーションが登場するとすぐに興味を持ち、
    アニメーターとして働くようになり、今のディズニーのベースが出来たのです。

    1920年頃の話です。

    ディズニーはアニメーションの基礎を造ったと言っても過言ではりません。
    そこから生まれた技法や人材が今だ世界のアニメ界の中心なのですから。

    ディズニーアニメの最高傑作は何といってもコレです。
    「ファンタジア」
    fantasia.jpg
    公開 1940年
    オーケストラのクラシック演奏に合わせたアニメーションの8編からなり、
    バッハやチャイコフスキー、ベートヴェンの代表曲が連なっています。
    芸術の域まで高めた
    アニメーションを作り上げたいという思いで
    投入したスタッフは1000人、描いた原画は100万枚、製作期間3年という
    とんでもない資金と労力をつぎ込んだ大作です。

    しかも史上初のステレオ音声です。
    初のステレオがアニメだったとは思いませんでした。

    このシーンに登場するキャラクター達の踊りや展開が絶品です。
    今でも通用する見事なアニメーションに目が釘付けになります。

    そしてもう一作品はこれです。
    「ダンボ」
    dumbo02.jpg 
    公開 1941年
    意外と思う人もいるかと思いますが、
    この作品には狂気な空想の世界を感じるシーンがあるのです。

    この耳の大きいダンボが夢をみると「ピンクの像」が出て来て踊るのですが、
    それが、これまで見たこと無いアニメーションなのです。
    ドラッグ中毒の幻覚などとも言われていますが、
    dumbo01.jpg 
    トラウマになりそうですね。
    昔のディズニーアニメにはトラウマになりそうなシーンが
    結構あります。

    実は日本アニメにも昔はありました。
    特に「ガンバの冒険」にはトラウマを持っている人も少なくないでしょう。
    しかし最近はまったくと言っていいほどありません。
    良く聞く「PTAから・・」なのでしょうか。
    かえってつまらなくなりました。

    そんなディズニーアニメもCGの発展に押されることになります。

    2001年頃に、ディズニー本社でアニメ部門のスタッフと会議をしたことがあります。
    社内には、いたるところにミッキーが形どられたモチーフがありました。
    ドアのノブや窓、床など、トイレにさえもです。
    disney01.jpg
    ご覧のようにディズニーのキャラクター達が会社を支えています。
    そういう意味でも2Dアニメに拘っていたのでしょうが、
    「トイ・ストーリー」などのCGアニメに押されていて、
    アニメ部門は予算削減が重要な課題になっていると聞かされたことを思い出します。

    近年ではPixarという強力なCG製作会社をグループ化したことで、
    ディズニーの中もよい意味で進化したようです。
    大ヒット作「アナと雪の女王」をみても分かるように、
    ディズニーアニメのセル画をトレースしてCGを作ることで、
    特徴的な動きのアニメとCGを見事に融合させた作品を発表しています。

    ちなみに、1997年ごろのアメリカのアニメーター仲間内での話ですが、
    ディズニーの雇用契約は厳しい内容で有名でしたので、
    ディズニーに雇用されることを「悪魔に魂を売った」と言っていました。

    今でもそうなんでしょうかね。


    テーマ : ディズニー映画
    ジャンル : 映画

    マスク The Mask
  • 映画紹介
  • 2015-01-12
  •  
    キャメロン・ディアス結婚のニュースをうけて
    今日は彼女のデビュー作を紹介したいと思います。

    The Mask
    mask03.jpeg
    公開 1994年
    主演 ジム・キャリー
        キャメロン・ディアス

    この作品でジム・キャリーは一躍有名になりましたが、
    素人同然の新人だったキャメロンもスターへ仲間入りをしたのです。

    ストーリーはコミックの映画化で、冴えない銀行員が緑のマスクを拾い、
    そのマスクを顔につけると超人に変身して、悪人から恋人を助けるという
    至ってオーソドックスな内容です。

    mask02.jpg
    めちゃくちゃ色っぽいですね。

    いやいや、ここで記事にした理由は他にあります。
    それは斬新なCG技術の使い方です。
    mask04.jpeg
    mask07.jpeg
    mask05.jpg
    実写にCGが馴染んでいるかどうかなど問題にならないほど、
    インパクトが強い映像です。
    この年代ではCGで顔のアニメーションをつくるのも大変な作業でした。
    さらに実写の身体の動きにあわせて、
    CGの顔などを1フレーム1フレーム調整しながら位置決めをしています。

    面白いのはこのアニメーションです。
    コミックからの作品ですのでこういう表現を行っていますが、
    CGにしかできない技法で、CGのよい使い方です。

    アメリカのアニメーションには、ウォルト・ディズニーと、
    それに対抗したMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー社)、
    ワーナー製作のルーニー・テューンズ(アニメシリーズ)があります。
    (くわしくは後日、記事にしたいと思います)

    MGMは「トムとジェリー」がアニメの代表作です。
    tom01.jpg
    ルーニー・テューンズは「バッグス・バニー」、「ロードランナー」が代表作です。
    looney.jpg
    これらのオーバーアクションなアニメーションは私達の基礎となっています。
    間の取り方が絶妙で、世界のアニメーション現場では常識となりました。

    それを実写化したのがこの「The Mask」なのです。

    この路線は「アリ」だと思いますが、「The Mask2」の後、
    この系統の映画は出ていません。

    こういうジャンルの映画はもっとあってもよいと思うのです。
    今の技術だともっと面白く出来ると思うのですが・・


    テーマ : 映画関連ネタ
    ジャンル : 映画

    シン・シティー
  • 映画紹介
  • 2015-01-10

  • 「シン・シティー」の続編、「シン・シティー 復讐の女神」が上映されています。

    実は私はこの作品が
    意外と好きです。
    なぜかと聞かれても答えは出ません。
    私の感性を刺激すると
    しか言えません。

    SIN CITY
    sin01.jpeg
    公開      2005年
    監督      フランク・ミラー、ロバート・ロドリゲス
    製作費     約40億円
    興行収入  約160億円

    この作品はフランク・ミラーのコミック「シン・シティー」を映画化したモノです。
    ちなみに、フランク・ミラーは映画「300」でも監督をしています。
    300.jpg
    系統は同じですね。
    これも好きな作品です。


    とにかくこの遠近感を無視したカメラアングルがしびれるのです。
    sincity03.jpg
    sin02.png
    sin06.jpeg
    そして何よりもこの光と影の表現が超カッコいいのです。
    sin05.jpg
    個別に何個もライトを使っているのだと思いますが、
    完成度が高いです。

    しかもモノクロの表現をしているのに一部色をつけているところが
    また素晴らしい感性です。(スニーカーが赤い)

     sin08.jpg
    この映画は、背景をほぼCGで表現することで現実に無い不思議な世界を
    表現しています。
    sin09.gif
    実際にはすべてスタジオで撮影しています。

    フランク・ミラー監督は「300」でも同じ撮影方法をとっています。
    スタジオで撮影することで野外で撮影するより大幅な予算を削減する
    ことが出来ます。
    しかも不思議な世界観をつくりあげています。

    内容はバイオレンスのオンパレードですが、
    とにかく映像が超しびれる作品です。

    私は好きです!

    映像を目指す人にはライティングの勉強になると思います。


    テーマ : 映画関連ネタ
    ジャンル : 映画

    ゴラムはどうやって制作したか
  • 映像技術
  • 2015-01-09
  •  
    名作紹介「ロードオブザリング」のときにゴラムについてすこし述べました。
    今回はもう少し動きと合成について詳しく書きたいと思います。

    撮影時にはモーションアクターといわれる役者が動きを演出しています。
    下は顔が出ないゴラム役のアンディ・サーキスさんです。
    yubiwa01.jpeg
    身体についている小さなボールから、3次元のデータを
    特殊なカメラで
    読み取ることで動きが再現できます。
    それを「モーションキャプチャー」といいます。
    vicon.jpg
    奥にあるのが特殊なカメラです。

    顔にも小さなボールをつけると、顔用のカメラで
    表情やしゃべりなども再現することが出来ます。
    apes02.jpg
    このショットは新「猿の惑星」のものですが同じ技法をつかっています。

    もちろん、CGキャラクターのクオリティーも驚くべき技術ですが、
    動きや顔の表情は、このようにアクターがおこなっているわけです。

    この特殊なカメラは外にだしても問題ありません。
     
    したがって野外でも背景と同時に撮影することができます。
    apes03.jpeg
    このように撮影し、アクターをCGに置き換えることができるのです。

    なぜ、このような面倒なことをするかというと
    背景となじみが良くなるという理由もありますが、
    apes08.jpg
    人との絡みがあったり、
    apes06.jpeg
    apes07.jpg
    上の絵はテスト段階絵ですが、CG以外(馬など)と絡むからです。

    この段階で気付いている人もいるかもしれません。

    上の絵がテスト段階なのでお分かりなように
    余計なもの(業界用語ではバレといいます)があります。

    そうです。猿のCGからはみ出しているモノがあります。
    もちろん消します。
    手で消して背景を描く場合もありますし、
    登場人物が居ない(業界用語では空舞台といいます)
    背景を別に撮って合成する場合もあります。

    以前の記事でモーションコントロールカメラについて触れましたが、
    カメラの位置情報もデータ化されるので、
    空舞台でもう一度撮ることが出来ます。
    その背景を合成するときに使用するのです。

    このように面倒な手順を積み重ねることで
    apes04.jpg
    ご覧のようにリアル感がさらに増すわけです。

    「モーションアクター」は最新技術が生み出した役者です。
    私も14年前からゲームやCMでお付き合いさせて頂いています
    劇団の方々が多いのですが、動きにも癖があって、ゲームのあのキャラは
    あの人と決まっているのです。

    顔が出ないのですが、面白いですね。


    テーマ : 映画関連ネタ
    ジャンル : 映画

    沈黙
  • 映画紹介
  • 2015-01-07
  •  
    遠藤周作「沈黙」のハリウッド映画化で、撮影遅延の為、
    渡辺謙から浅野忠信へキャストが変わったというニュースが流れました。

    というわけで今回は「沈黙」について少し書きたいと思います。
    chinmoku.jpeg
    出版 1966年

    この「沈黙」をハリウッドが映画化すると聞いて、少しびっくりしました。

    実は、作品舞台が自分の出身地だというとこで、
    高校時代に読んだ小説だったからです。
    しかも当時疑問に思っていたことに真っ向から向き合っている内容に
    心惹かれて読みました。

    舞台は
    江戸時代初期の長崎です。
    島原の乱の後のキリシタン弾圧が激しい時代に、
    宣教師として潜入してきたポルトガル人が見た想像を絶する弾圧。
    あまりにも酷い拷問の果てに処刑される隠れキリシタンらに「沈黙」する神。
    信仰の意義を問う問題作です。

    これをハリウッドがどう表現するのか非常に興味深いです。
    しかも監督は「タクシードライバー」のマーティン・スコセッシです。
    taxi01.jpg 
    公開 1976年
    主演 ロバート・デ・ニーロ

    超リアルな社会派映画で、名作ですが、あまりにも生々しい作品です。
    そんな監督ですから「沈黙」の内容もリアルになると想像できます。

    でも当時の日本をどこまでリアルに表現できるか・・

    ストーリーの中で、日本的な演出が重要な役割を果たします。
    江戸時代の長崎の街並みが再現されるのも楽しみですが、
    例えば雨、セミの声、日差し、海なども日本的に撮ってほしいものです。

    撮影地は台湾ということですので、少し心配です。
    日本に無い植物や建造物などがでると引いてしまいます。
    しかもあの時代の隠れキリシタンらの生活を思うと、
    とてもじゃないですが綺麗な映像ではありません。

    そしてキチジローという卑屈で汚い人物が登場します。
    彼を汚く見せれば見せるほどストーリーが生きてきます。

    そのようなところをどう表現してくれるか今から楽しみです。

    キチジロー役はイッセー尾形ですが、この汚れ役には竹中直人の方が
    良い気がしますし、人間の深層をえぐる井上筑後守の役には、
    浅野忠信より元々の渡辺謙の方があっている気がします。
    いや、むしろ井上にはイッセー尾形こそはまり役では?

    テーマ : 映画関連ネタ
    ジャンル : 映画

    プロフィール

     野口秀昭

    Author: 野口秀昭
    30年近くCG映像業界に身を
    置き、CM、展博、ゲームなど
    の映像を担当し受賞作品や
    有名タイトルを多数制作

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