十三人の刺客
  • 映画批評
  • 2015-03-30

  • 今回は時代劇が見たくなったので、少し古いですが
    大仕掛けで話題になった作品を取り上げました。

    十三人の刺客
    13nin01.png
    公開    2010年
    製作費   20億

    この作品は1963年に映画化された同名作品のリメイク版です。

    内容は、
    明石藩主は狂気じみた暴虐非道な人物にもかかわらず、
    将軍の異母弟である為に幕府の次期老中に内定する。
    万民の為に選ばれた13人の刺客が、参勤交代の道中で
    明石藩主を暗殺する、という話です。

    史実にも近い話があったと言われていますが、
    面白い設定でした。

    久しぶりに時代劇の真骨頂を見たくなり手に取った作品でしたが、
    なかなかスケール感のある映画でした。

    まず、手抜きがなかった事がよかったです。
    暗殺する場所を街道沿いのある村に設定し、その村自体を
    実際に造ったのがこの映画に厚みをつけています。
    13nin02.jpg
    戦うところも手抜きはありません。
    13nin05.jpg
    この作品の監督は黒澤明監督を尊敬しているようで
    七人の侍を非常に意識している点が見受けられます。
    雨のシーンなんかはまさに黒澤の雨でした。

    そして選り抜きの侍を揃える設定
    13nin09.jpg

    戦いはあまり期待していなかったのですが、
    立ち回りは
    なかなかリアルっぽい感じで良かったです。
    13nin07.jpg

    戦いのボロボロ感もいい感じです。
    13nin08.jpg

    展開も息もつかせぬ感じでした。
    全体的にはスケール感もあり、あらゆるところに
    気を使って作られた良い出来だと思いますが、
    私なりに気になる点を述べさせていただきます。

    まず、色味です。
    これは色を落とすべき内容だと思います。
    緑とか肌とか鮮やかに色を出しすぎたと思います。

    明石藩主ですが、稲垣吾郎で良かったか・・
    13nin04.jpg

    その点、若い二人はいい感じでした。
    13nin10.jpg
    おなじみの山田孝之と窪田正孝です。

    あとCGが冷や汗ものです。
    13nin06.jpg
    クオリティー的にギリギリセーフですね。

    最後に、おいおい死んでないのかよというシーンがあります。
    ネタバレになるので詳しくは書きませんが
    これは幾らなんでも無いと思いますよ。


    テーマ : 映画レビュー
    ジャンル : 映画

    そこのみにて光輝く
  • 映画批評
  • 2015-03-22

  • 今回も小説から映画化された作品です。

    そこのみにて光輝く
    sokonomi01.jpg
    公開  2014年

    この作品の作家の佐藤泰志は
    函館の高校在学中に有島青少年文芸賞の優秀賞を受賞し、
    数々の受賞作品を手がけたが、41歳の時に自殺しています。

    内容は函館を舞台にしていますが、非常に重い作品です。

    採石場のダイナマイトの技術者だった主人公(綾野剛)が
    部下を死なせたことで酒におぼれた生活をしている中で
    パチンコで知り合った少年院から出た保護観察中の青年(菅田将暉)と知り合う。
    そして誘われるまま訪れた青年の家。
    そこには脳溢血で寝たきりの父親、その看病で疲れ切っている母親。
    その家族を養う為に体を売っている姉(池脇千鶴)。
    姉を好きになった主人公が元の仕事に復帰することを決意し
    姉と一緒になり、弟にも自分の仕事を紹介することを提案する。
    ただ、姉には愛人扱いする弟の仕事を斡旋している町の世話人がいて
    姉弟の邪魔をする。

    映像は昭和を思い出すようなちょっと古い色彩の感じで、
    地方でどん底の貧困家族を見事に描いていました。

    カメラも寄りきらず、引ききらずでいいアングルです。

    保護観察中で仕事にありつけない学もない青年を
    見事に演技している弟役の菅田将暉
    sokonomi03.png
    彼は彼なりに、それでも何とかしたいともがいている

    安い金で体を売って家族を養っている姉役の池脇千鶴。
    体を張った演技で日本アカデミー賞の主演女優賞の優秀賞を受賞しています。
    sokonomi02.jpg
    良い表情です。

    どうしようもない状況でも家族の為に
    必死に生きようとしているのは良く描いていました。
    異色の家族愛と言ったところです。

    ハッピーエンドじゃないのも現実感がありました。
    あまりにも重いのでお勧めはしませんが、

    生きていくという事の厳しさを嫌というほど
    教えてくれる作品です。

    もちろんこれも映画じゃなくドラマレベルではありますが、
    確かに地上波で流せない内容ですので映画化は致し方ないところです。

    主人公の綾野剛を初めて知ったのは、
    2011年のNHK朝ドラ「カーネーション」で、
    主人公尾野真千子の不倫相手として出演していました。
    最近、私が取り上げる作品でもいろいろと出演しています。

    姉役の池脇千鶴を初めて知ったのは、
    これも2007年のNHK大河ドラマ「風林火山」で
    武田信玄の正妻の三条夫人として出演していました。
    計略結婚の幼い役でしたので童顔の顔が合っていましたが、
    こんな汚れ役を演じられるようになったのですね。

    テーマ : 映画レビュー
    ジャンル : 映画

    編集と合成技術の進化
  • 映像技術
  • 2015-03-04

  • 今回は久しぶりに映像技術について書きたいと思います。

    実は先日、副業で合成の仕事を手伝いました。
    私の本来の仕事は主にプロデュース業務ですが、
    映像制作の中で合成作業が一番好きなので、
    実際の合成マンと言われる人の作業を見ていて
    自分も少しづつ参加することで、身に付けることが出来ました。

    この合成作業ですが、何が面白いかというと
    1.最後の仕上げの作業で絵のテイストを決められる
    2.すべての映像技術の知識を身に付けることが出来る
    3.現場での中心的な役目を担える

    1は
    バラバラの映像を一つにして色彩などを決める作業も含まれているので
    自分の思う色味にできるのが面白い作業です。
    2は
    最終合成ですから、映像の素材をすべて把握してないといけません。
    なのですべての映像の撮り方やCGの素材を把握し、
    撮影時には撮影の仕方を指示し、
    CG現場にもどういうCGを必要かを指示することになります。
    そういう意味ですべての映像技術を知りえるのです。
    3は
    2で述べたことが知識として身に付いているので
    現場のコントロールセンターみたいな立場になるからです。

    それではここで編集合成の進化を軽く述べたいと思います。

    私が業界に入った頃はまだフィルムが幅を利かしていましたが、
    87年頃からビデオの「ノンリニア編集」が登場します。

    まずリニア編集とは、簡単に言うと
    テープとテープを合成してテープに録画することです。
    これだと一々巻き戻して再生し、合成したり編集したりするので、
    時間もかかるし、出来上がったモノはダビングされたモノ、
    つまり「子供」になる訳です。
    当然、画質が落ちます。

    その画質と作業時間を画期的に向上させたのがノンリニア編集です。
    コンピュータが編集機器として使われるようになり、
    HDDなどに映像素材を入れ、編集や合成するときに(巻き戻しの必要なく)
    必要な映像素材を瞬時に出し入れすることが出来るようになったのです。

    そうです、今の編集・合成ソフトと同じことがやっとこの時代に登場したのです。
    しかし当時かなり高価なハード・ソフトウェアでした。

    私が初めてこのノンリニア編集に出会ったのはこのマシンです。

    QUANTEL製「Harry」
    harry02.png
    高価なので編集会社(ポストプロダクション)しか持っていませんでした。

    技術的には今のペイントソフトレベルの作業ですが、
    CMの秒数ほどの合成作業で1週間泊まり込みさせられた記憶があります。

    私達は完成まで後ろで見ていればよかったのですが、
    合成マンは数日の貫徹は当たり前の世界で大変だったと思います。

    それから本格的な合成編集技術が発展していきます。
    DISCREET 製のインフェルノ、フレーム
    QUANTEL製のヘンリー

    などが代表的なソフトの名前で、金額的には数千万から1億円でした。

    そして進化は続き、
    遂に個人でプロ級のソフトを使えるようになりました。
    flame,Premiere,Final Cut Pro などです。

    flameはフリーの合成マン達がよく使っています。
    Final Cut Proはディレクターが個人でMAC上で使っています。

    そして私がよく使うソフトがこれです。
    After Effects
    af01.jpg
    名称通り、編集より合成やエフェクトを映像にいれることに
    重きを置いているソフトです。

    このソフトに出会ったのは、私のアメリカ時代で95年頃です。
    まだ日本ではプロの現場でもあまり使われていない時に
    既にアメリカの現場では、合成編集専門の人が
    上級クリエイターとして存在していたのです。

    なぜ上級かは上で述べています。
    アメリカでは早くから重要性を感じていたのです。
    日本でも近年やっとディレクターの次に重要視されるクリエイターとなりました。

    学校などでは重要なクリエイターだとあまり教えていないようで、
    業界的にはいつも人材不足な職種です。


    テーマ : 映画関連ネタ
    ジャンル : 映画

    プロフィール

     野口秀昭

    Author: 野口秀昭
    30年近くCG映像業界に身を
    置き、CM、展博、ゲームなど
    の映像を担当し受賞作品や
    有名タイトルを多数制作

    アクセス
    カテゴリ
    最新記事
    最新コメント
    検索フォーム
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR