後世に残すべき不朽の名作 その1
  • 名作紹介
  • 2014-12-20

  • 後世に残すべき不朽の名作を紹介したく、新しく名作紹介のカテゴリーを追加しました。
    記念の第1作目は私達の映像業界で働く者にとって「神」のレベルの作品です。

    「2001年宇宙の旅」

    監督   スタンリー・キューブリック
    公開日  1968年



    この時代の背景を少し説明します。
    当時アメリカではベトナム戦争が泥沼化していて、ロバート・ケネディー上院議員が
    兄と同じように暗殺されるというアメリカの負の時代。
    しかし翌年には人類初の月面着陸という明るい出来事もありました。

    今の若い人には歴史教科書の中でしか知らない時代でしょう。
    そういう時代に製作された映画です。

    この時代には当然CGはありません。
    デジタル合成もありません。
    フィルムとフィルムをあわせる合成しか出来ない時代です。
    コックピットの中でCGっぽい表現がありますが、これは線を一枚ずつ
    描いて着色したものです。

    この作品は映像技術を補うために撮影技術を駆使しています。
    しかも驚異的な技法がふんだんにあります。

    ストーリーを話しましょう。
    猿人の時代、猿の群れの中に忽然と現れる黒い石板(モノリス)。
    ある猿が勇気を出して石板に触ると骨を武器にできることに気付く。
    そこから時代がとび、2001年。
    400万年前から埋まっている黒い石板(モノリス)が月で発見される。
    石板(モノリス)が木星に信号を送っていることがわかり、
    木星へと調査船が送られる。
    木星に近づくと、調査船を制御する史上最高の人口知能コンピュータ
    「HAL」が感情をもち始める・・・

    「未知のモノ」との遭遇というテーマはえてして陳腐になりがちですが、
    超リアルな演出と荘厳な音楽を入れ込んだことで芸術の域に達しています。

    音もすばらしいです。
    重要なシーンではクラシック音楽をながしていますが、ほかでは全く音楽はなく
    周りの音のみで、宇宙空間は耳が「キーン」となるほど無音です。
    そのバランスが秀逸です。

    映像はリアル性を重視しています。
    単にリアルといいますが、無重力の表現は私達専門家から見ても驚異的な
    仕掛けで撮影されています。
    その技法は今でも参考になるほどです。

    例えば、
    宙にふわふわと浮いているペンを、奥からスチュワーデスが近づいて
    手に取る場面。

    この場面では一度もカメラが切り替わっていません。
    つまり同時に撮影しているのです。
    なんども言いますがCGの無い時代です。

    どうやって撮ったか、考えてしまいます。
    おそらく無反射ガラスをつかった技法だと思いますが、
    それでも綿密な計算がなければ上手く行きません。
    そういう場面が各シーンに出てくるのです。

    デザインも非常に素晴らしく、宇宙船などもリアル性が重視されたデザインで、
    本当に開発されているのではと思えます。

    なかでも一番の衝撃をうけたのは、やはり石板のモノリスです。
    唐突な話ですが、数学の世界で「神の数式」はシンプルでなければならないと
    言われています。
    まさにこのモノリスです。

    そして、この作品のもっとも素晴らしいところ、それは製作者の「Mind」です。
    日本語では当てはまらないのですが、姿勢とか精神とかの意味です。

    アメリカのこの激動の時代だからこそ、撮影不可能な表現に挑戦し、
    人類にとっての「進化」を表現する、そのMindが素晴らしいと思います。

    私達、映像に携わっている人々は襟をただし正座してみるべき名作です。

    最後に、皆さんが映像をみたら地球の表現が陳腐で、月はクオリティーが
    高いと気づくと思います。
    当然です。
    この時代に外から地球を撮影したものはほとんどなく、
    逆に月面着陸計画中ですから、月の情報はたくさんあったのです。

    そういった時代が見えてくるところも面白いですね。

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    ジャンル : 映画

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    プロフィール

     野口秀昭

    Author: 野口秀昭
    30年近くCG映像業界に身を
    置き、CM、展博、ゲームなど
    の映像を担当し受賞作品や
    有名タイトルを多数制作

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