黒澤作品影武者
  • 名作紹介
  • 2014-12-27

  • 今回は黒澤作品の紹介です。第一弾は「影武者」です。

    公開   1980年
    製作費  約10億円
    興行収入 約27億円
    プロデューサー    田中友幸(ゴジラ)
    海外プロデューサー フランシス・フォード・コッポラ(ゴットファーザー)
                  ジョージ・ルーカス(スターウォーズ)
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    80年の公開ですから、当然CG技術等はありません。
    黒澤作品はいろいろな人が批評していますが、世界に認められた監督
    であるということは誰も疑わないでしょう。

    私が黒澤作品で一番魅了されるのは「カメラ」です。
    カメラアングルのどこにも「隙」がないのです。
    そこがすごいと思っています。

    それでは詳しく見ていきましょう。

    初っ端からこのシーンです。
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    約6分の固定カメラのシーンです。
    しかも一人二役ですから2回撮っているということになります。
    うまく合成していますが、そんなことより、
    撮影現場の緊張感は半端なかった
    と思います。

    なにしろ、6分のフィルムを回しているので、一つでもミスすると6分のフィルムが
    パアになるのです。(フィルム費が半端ないですから)

    このシーンの真正面のカメラ位置も本当に勇気がいります。
    よぽど自信がないと置けない位置です。

    黒澤監督はすべてのカットのカメラ位置を綿密に計算しているとしか
    思えません。
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    丘の向こうから現れる信玄軍のシーンです。
    夕焼けの空が大きく広がっています。
    こういうアングルは本当にしびれます。
    しかもいい雲です。何日も待っていたのでしょう。
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    監督のアングルに
    よくある構図です。
    手前と奥と夕日のバランスが素晴らしい。
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    馬の激走のシーンです。
    地面に起伏があるので、奥から激走してくる馬が一旦隠れて見えなくなり、
    手前でまた出てくるという見せ方が素晴らしい。
    馬の数も数百頭が登場します。

    実は以前ゲームムービー制作時によく参考にしました。
    公開から数十年たつ今になっても学ぶべきところが沢山あるのです。

    一番印象的なシーンは、戦場で敵が信玄本陣に奇襲したときに
    本陣の陣営をみて引き返すシーンです。
    整然と配置した陣営を固定カメラで見せているだけで
    敵を諦めさせた演出がすごいのです。
    普通は固定カメラだけで表現できません。

    すべてに置いて奥行を意識したカメラアングルを重用しています。
    一つ一つ検証していきたいのですが、そうもいきませんので
    皆さんが見る時にそういう視点から見るというのも面白いと思います。

    内容についてはもうすでにいろいろと言い尽くされているので、私から敢えて
    いうことはありません。

    私の映画アウトリストではよく衣装やメイクの指摘をしますが、
    「影武者」ではどうでしょう?

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    どうです、ここまで馴染んだ兜をかぶった武将をみたことありますか。
    しかもカッコいい!

    キャスティングでももちろん素晴らしい俳優陣をつかっています。
    その中でも、ここまで信長像に近い俳優を今だにみたことがありません。
    隆大介さんという俳優です。
    しかも演技の本気度が半端ないです。
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    また、この作品では小姓役など広く一般からオーディションで選ばれ、
    素人でも結構セリフをもらえたことなども話題になりました。

    撮影場所に姫路城や熊本城をつかえたのも黒澤だからでしょう。

    ここまで拘り、スケールのある映画を撮れるのは、日本においては
    黒澤明しかいません。
    今後、彼を超す人材が生まれるかどうか。

    黒澤の記事です。
    「私は海外にいくとスター扱いだが、日本では乞食あつかいを受ける」
    「世界の黒澤」さえこのありさまです。他はいうべくもありません。

    最後にこの作品にも残念な点はあります。
    予算の問題もあったと思いますが、林軍が少ない印象と
    ひとカットが長い点です。
    特に「悪夢のシーン」と「屍シーン」で、時代によって好まれるテンポは
    変わるとは思いますがとにかく長いです。

    それでも時代物の映画でこの影武者に匹敵するのは他の黒澤作品だけです。


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    プロフィール

     野口秀昭

    Author: 野口秀昭
    30年近くCG映像業界に身を
    置き、CM、展博、ゲームなど
    の映像を担当し受賞作品や
    有名タイトルを多数制作

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