プリプロダクション その3
  • 映像技術
  • 2015-02-01

  • いよいよプリプロダクションの生命線についてです。

    4.アニマティック
    matr01.jpg
    これはマトリックスのアニマティックです。

    絵コンテをもとに、今度は実際に「仮の映像」を作ります。
    基本はCG作業となりますが、人物の話すだけのシーンなどは
    「3.演技セリフ合わせ」の時に撮れた映像を流用します。
    そして映画の長さ(尺)の仮の映像が出来るのです。
    それがアニマティックです。

    私がCG屋だからいうのではありませんが、
    この作業こそ映画の失敗を回避し無駄な予算を使わないための
    論理的な方法だと思います。

    アニマティックの目的は
    ・実際のカメラで撮るアングルを決めること
    ・撮影現場でのカメラの位置と高さ、レンズを決めること
    ・ライトの方向や位置を決めること
    ・役者のセリフや演技(3で撮った)も入れ込むことで
     全部の尺や流れを決めること

    以上が目的なので、CGのクオリティは低くて問題ありません。
    CG作業の予算は出ますが少なくてすみます。

    しかも製作に入る前に重要なチェック機能与えてくれるのです。

    映画製作予算の大部分はこの後から発生するので
    その前に検証できるのは大きいのです。

    このアニマティックは完成する映画をシミュレーションしているので、
    これからの本番製作のガイドとなり、すべてのスタッフはこの映像に
    そって製作したり撮影のセッティングを行うことになります。

    アニマティックをやってない場合は
    ・撮影する現場に行ってからカメラや照明の位置を決める。
     これにはすごく時間がかかります。
    ・実際にカメラを回したり、照明をたいたりしてテストを行う。
     良く無ければ再度位置決めから行う。
    ・やっと役者が出てきて演技指導が入る

    これは非常に無駄です。膨大な予算の浪費です。

    アニマティックは撮影する現場の寸法や役者の身長を考慮した上で
    カメラのレンズが何mmかも決めて作られた映像です。
    したがって現場ではそのデータを再現するだけでよいのです。

    私がアニマティックの重要性を感じたのは下の映画です。
    dh02.jpg
    ダイ・ハード3(1995年)

    このシーンはCGではなく、実際に街の大通り(設定ではニューヨーク)
    で爆発させたカットです。
    撮影の時にはもちろん
    この大通りに一般の車は入れなくなります。
    流石に撮影に協力的なアメリカでも長い時間は許可がでませんでした。
    そこで製作スタッフはCGを使って徹底的にシミュレーションを行い、
    短時間でカメラや照明を設置し、一発勝負の撮影を成功させたのです。

    これがCGを使ったアニマティックの基礎になり、
    映画製作に非常に重要なヒントを与えてくれました。

    正式にCGのアニマティックを使用した作品は1年後に公開された
    「ミッション:インポッシブル」(1996年)だと言われています。

    このアニマティックを徹底的に活用すれば、スケジュールと予算を
    大幅に削減できるのは明らかです。
    しかも最初の段階で映画の善し悪しの検証もできます。


    まとめは次の記事で。


    関連記事

    テーマ : 映画関連ネタ
    ジャンル : 映画

    コメントの投稿

    非公開コメント

    プロフィール

     野口秀昭

    Author: 野口秀昭
    30年近くCG映像業界に身を
    置き、CM、展博、ゲームなど
    の映像を担当し受賞作品や
    有名タイトルを多数制作

    アクセス
    カテゴリ
    最新記事
    最新コメント
    検索フォーム
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR